業務マニュアルの品質を高めるためには、作成者とレビュアーを分けたレビュー体制を整えることが重要です。

業務マニュアルを作成していると、次のような悩みを持つ方もいるでしょう。

  • レビューで修正が多く発生する
  • 作成者によってマニュアルの品質にばらつきが出る
  • 統一ルールやゴールドサンプルを作ったが現場に定着しない

これらの問題は、レビューを品質管理やルール定着の仕組みとして設計できていないことが原因です。

本記事では、レビュー体制の役割や必要性、レビュー体制の作り方について詳しく解説します。

レビューを単なる確認作業ではなく、品質向上の仕組みとして活用し、業務マニュアルの品質を安定させましょう。

業務マニュアルの作り方については、次の記事を参考にしてください。品質を安定させる仕組みづくりを詳しく解説しています。

>>業務マニュアルの作り方|品質を安定させる仕組みづくりを解説

レビュー体制とは

レビュー体制とは、業務マニュアルを作る人と確認する人を分けて、品質を高めるための仕組みです。

レビュー体制には、主に以下の3つの役割があります。

  • 作成者とレビュアーを分けて確認する仕組み
  • ミスを探すのではなく品質を揃える工程
  • ルールや指示の解釈を確認する工程

それぞれ詳しく見ていきましょう。

作成者とレビュアーを分けて確認する仕組み

レビュー体制とは、作成者とレビュアーの役割を分ける仕組みです。

作成者は業務内容を整理し、マニュアルのたたき台を作成します。一方でレビュアーは、完成したマニュアルが品質基準を満たしているかを確認します。

作成者が一人で作成から確認まで行うことも可能です。しかし、自分で作った文章は自分では気付きにくい部分があります。

そのため、多くのマニュアル作成プロジェクトでは、作成と確認を分けて進めます。

業務マニュアルの品質を安定させるためには、作成者とレビュアーの役割分担が重要です。

ミスを探すのではなく品質を揃える工程

レビューは、ミス探しやダメ出しをするための工程ではありません。

レビューの目的は、業務マニュアル全体の品質を揃えることです。

レビューで修正が多く入ると、「作成者の出来が悪かった」と受け取られることがあります。しかし実際には、品質基準に合わせるための調整が行われているだけの場合も少なくありません。

例えば、

  • 見出し構成を統一する
  • 表記ルールを揃える
  • 説明の粒度を合わせる

といった修正は、品質向上のための調整です。

レビューは作成者を評価する工程ではなく、成果物をより良くする工程と考えることが重要です。

ルールや指示の解釈を確認する工程

レビューには、ルールや指示の解釈を確認する役割もあります。

マニュアル作成では、作成者が統一ルールや作成指示に沿って作業を進めます。しかし、指示の内容が曖昧だと、人によって解釈が変わることがあります。

実際にブログ記事の作成ルールやゴールドサンプルを整備した際も、

「この表現で良いのか」

「どちらの書き方に統一するのか」

といった確認が何度も発生しました。

レビューを行うことで、「ルール通りに作成できているか」だけでなく、「ルール自体が分かりやすいか」も確認できます。

レビューは成果物の確認だけではなく、ルールや指示を改善するための工程でもあります。

業務マニュアルの統一ルールについては、次の記事を参考にしてください。

>>業務マニュアルの表記ルールとは?品質を安定させる統一ルールを解説

レビュー体制が必要な理由

レビュー体制が必要な理由は、以下の3つです。

  • 自分で作ったマニュアルは自分では気付きにくい
  • 作成とレビューでは見るべき視点が異なる
  • 大量のマニュアルでは品質のばらつきが起こりやすい

それぞれ詳しく解説します。

自分で作ったマニュアルは自分では気付きにくい

業務マニュアルは、第三者に確認してもらうことが重要です。

作成者は業務内容を理解した状態で文章を書いています。そのため、説明不足や手順の抜け漏れがあっても気付きにくい傾向があります。

例えば、作成者にとっては当たり前の操作でも、初めて業務を行う人にとっては分かりにくいことがあります。

また、専門用語や社内用語も、作成者には自然に見えてしまいます。

自分で作ったマニュアルだからこそ見落としてしまう部分があるため、第三者によるレビューが欠かせません。

作成とレビューでは見るべき視点が異なる

作成とレビューは、求められる視点が異なります。

作成者は業務内容を整理し、文章としてまとめることに集中します。一方でレビュアーは、表記ルールや構成、読みやすさ、抜け漏れなどを確認します。

例えば、

作成者:内容を正しく伝える

レビュアー:誰が読んでも同じ解釈になるか確認する

という違いがあります。

そのため、作成者が優秀だからレビューが不要というわけではありません。

役割を分けることで、それぞれの専門性を活かしやすくなります。

大量のマニュアルでは品質のばらつきが起こりやすい

大量のマニュアルを作成する場合は、レビュー体制が必要です。

1枚や2枚程度の資料であれば、作成者自身が確認する方法でも対応できる場合があります。

しかし、50枚や100枚を超えるようなプロジェクトでは、品質のばらつきが発生しやすくなります。

私自身も、200本以上のマニュアルを作成した経験があります。

最初に作成したマニュアルと後半に作成したマニュアルでは、構成や文章の書き方が変わっていました。

改善すること自体は良いことです。しかし、全体の統一感を維持するためにはレビュー工程が必要になります。

大量のマニュアルでは、レビュー体制を前提として進めることが重要です。

レビュー体制の作り方

レビュー体制を作る際は、以下の4つを意識しましょう。

  • 作成者とレビュアーを分ける
  • レビュー基準を統一ルールで決める
  • ゴールドサンプルを用意しておく
  • レビュー工数をあらかじめ見積もる

それぞれ詳しく解説します。

作成者とレビュアーを分ける

レビュー体制を作るうえでは、まず作成者とレビュアーを分けることが重要です。

作成者はマニュアルのたたき台を作成します。レビュアーは品質基準に沿って確認を行います。

マニュアル作成では、業務理解や画面確認、文章作成など多くの作業が発生します。

一方でレビューは、表記や構成、品質基準への適合を確認する工程です。

求められる役割が異なるため、分業した方が品質を高めやすくなります。

レビュー基準を統一ルールで決める

レビュー基準は事前に決めておく必要があります。

レビュアーごとに判断基準が異なると、指摘内容が変わり、作成者が混乱するためです。

例えば、

  • 見出し構成
  • 表記方法
  • 画像の扱い方
  • 用語の統一

などをルール化しておくと判断しやすくなります。

また、レビューを進める中で、

「どちらの表現が良いか」

「このケースはどう扱うか」

という論点が出てくることもあります。

その場合は、レビュー結果を統一ルールへ反映することが重要です。

レビュー体制を機能させるためには、共通の判断基準を用意しておきましょう。
統一ルールについては、以下の記事で詳しく解説しています。

> > 業務マニュアルの表記ルールとは?品質を安定させる統一ルールを解説

ゴールドサンプルを用意しておく

レビュー体制を作るためには、ゴールドサンプルを用意しておくことも重要です。

統一ルールだけでは完成形をイメージしにくい場合があります。

そのため、実際の見本となるマニュアルを用意しておくことをおすすめします。

ゴールドサンプルがあると、

  • 文章量
  • 見出し構成
  • 画像の使い方
  • 説明の粒度

などを揃えやすくなります。

また、レビュー担当者による判断のばらつきも減らせます。

ゴールドサンプルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

> > マニュアルのゴールドサンプルとは?品質を安定させる作り方を解説

レビュー体制を作る前に、まずは完成形となる見本を用意しておきましょう。

レビュー工数をあらかじめ見積もる

レビューは追加作業ではありません。

品質を高めるための正式な工程です。

そのため、マニュアル作成では作成時間だけではなく、

  • レビュー
  • 修正
  • 再レビュー
  • 最終チェック

の時間も計画に含める必要があります。

特に50枚や100枚規模のマニュアルでは、レビュー工数を考慮していないと後半でスケジュール不足になりやすくなります。

レビュー体制を作る際は、レビューに必要な時間も最初から確保しておきましょう。

レビューで品質を高めるポイント

レビュー体制を作るだけでは、業務マニュアルの品質は安定しません。

レビューを効果的に運用するためには、以下の5つのポイントがあります。

  • 修正が多いことをネガティブに捉えない
  • レビュー担当者が直接修正しすぎない
  • 作成者本人に修正してもらう
  • ゴールドサンプルは最初が最も時間がかかる
  • 最終チェックの工程を残す

それぞれ詳しく解説します。

修正が多いことをネガティブに捉えない

レビューで修正が多く入ることは、悪いことではありません。

レビューで大量の修正が入ると、「作成者の能力が低い」と受け取られることがあります。しかし実際には、品質基準に合わせるための調整が行われているだけの場合も少なくありません。

例えば、

  • 見出し構成を揃える
  • 表記ルールを統一する
  • 説明不足を補う

といった修正は、品質向上のために必要な作業です。

レビューの目的は作成者を評価することではなく、成果物の品質を高めることです。

修正量ではなく、最終的な成果物の品質を見ることが重要です。

レビュー担当者が直接修正しすぎない

レビュー担当者が直接修正しすぎないことも重要です。

もちろん、軽微な誤字脱字であれば、その場で修正した方が早い場合もあります。

しかし、構成や表現方法などの修正を毎回レビュアーが行っていると、作成者にルールが定着しにくくなります。

レビュー担当者の役割は、完成品を作ることではありません。

どこを修正すべきかを明確に伝え、品質基準へ導くことです。

レビューは作業代行ではなく、品質管理の工程として考えることが重要です。

作成者本人に修正してもらう

レビュー後の修正は、できるだけ作成者本人に行ってもらうことをおすすめします。

作成者本人が修正することで、統一ルールやゴールドサンプルの考え方が身につきやすくなるためです。

私自身もブログ記事のレビューを行う際は、なるべく直接修正せずに修正内容をフィードバックするようにしています。

その場で直した方が早いケースもあります。しかし、本人が修正した方が次回以降の品質は高まりやすくなります。

レビューは成果物を修正するだけではありません。

作成者へ品質基準を共有する教育の仕組みでもあります。

同じ人が次回作成する際に同じ指摘が減れば、組織全体の品質向上につながります。

ゴールドサンプルは最初が最も時間がかかる

ゴールドサンプルは、最初の1本を作る時が最も時間がかかります。

なぜなら、ルールの抜け漏れや解釈の違いが見つかるからです。

実際にブログ記事のゴールドサンプルを作成した際も、

「この表現で良いのか」

「どちらの書き方に統一するのか」

といった確認が何度も発生しました。

1本目や2本目では修正量が多くなることもあります。

しかし、その確認作業によってルールや判断基準が整理されます。

その結果、後続の記事では同じ指摘が減り、品質が安定していきます。

ゴールドサンプル作成時の考え方については、以下の記事でも詳しく解説しています。

> > マニュアルのゴールドサンプルとは?品質を安定させる作り方を解説

最初に時間をかけることで、その後の品質管理が大幅に楽になります。

最終チェックの工程を残す

レビュー後も、最終チェックは必要です。

レビューや修正を行った後でも、

  • 誤字脱字
  • 表記揺れ
  • リンク切れ
  • 画像サイズの違い

などが残る場合があります。

特に複数人で作成したマニュアルでは、細かな差異が発生しやすくなります。

そのため、最後に全体を同じ基準で見直す工程を設けることが重要です。

レビューだけで終わらせず、最終チェックまで行うことで品質をさらに高められます。

業務マニュアルのチェック体制については、次の記事を参考にしてください。

>>チェック体制とは?業務マニュアルの品質を保証する方法

まとめ|レビュー体制を整えて品質を安定させよう

業務マニュアルの品質を高めるためには、作成者とレビュアーを分けたレビュー体制を整えることが重要です。

本記事では、レビュー体制の役割や必要性、レビュー体制の作り方、品質を高めるポイントについて詳しく解説しました。

レビューはミスを探すための工程ではありません。品質を揃え、統一ルールやゴールドサンプルを定着させるための仕組みです。

また、レビューを通じてルールの解釈を確認し、作成者へフィードバックすることで、組織全体の品質向上にもつながります。

レビュー体制を整え、継続的に品質を高められる仕組みを作っていきましょう。

業務改善の進め方については、次の記事を参考にしてください。見える化・仕組み化・マニュアル化の3ステップを詳しく解説しています。

>>業務改善の進め方|見える化・仕組み化・マニュアル化の3ステップ

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