業務ヒアリングは質問力ではなく、事前設計によって成果が変わります。
業務整理や業務マニュアルの作成を担当している管理職の方の中には、次のような悩みを持つ方もいるでしょう。
- ヒアリング時間が足りない、キリがない
- 部下へのヒアリングで本音を話してくれない
- 人によって話す内容がバラバラ
これらの問題は、聞き方ばかり意識して設計を考えていないことが原因です。
本記事では、業務ヒアリングがうまくいかない原因や、業務ヒアリングの進め方について詳しく解説します。
業務フローの整理や業務マニュアル作成につながる、実践的な業務ヒアリングの進め方を理解し、ヒアリングの質を高めていきましょう。
業務改善の進め方については、次の記事を参考にしてください。見える化・仕組み化・マニュアル化の3ステップを詳しく解説しています。
>>業務改善の進め方|見える化・仕組み化・マニュアル化の3ステップ
業務ヒアリングがうまくいかない原因
業務ヒアリングがうまくいかない原因には、以下の3つがあります。
- 時間配分が悪い
- 表面上の話になる
- 人によってばらつきが生じる
それぞれ詳しく解説します。
時間配分が悪い
業務ヒアリングは、設計がないと時間が足りなくなることがあります。
ヒアリングでは、話しやすいテーマほど詳細に聞いてしまう傾向があります。その結果、前半で時間を使いすぎてしまい、後半の重要な業務を十分に確認できなくなります。
例えば、同じ重要度の業務が複数あるにもかかわらず、最初の業務だけ30分使い、残りを10分で確認するようなケースも少なくありません。
ヒアリング時間が足りなくなる原因は質問力ではなく、時間配分の設計不足であることが多いです。
表面上の話になる
業務ヒアリングは、表面的な話だけで終わることがあります。
なぜなら、業務担当者は普段から当たり前に行っている作業を省略して説明するためです。また、上司が相手の場合は、本音を言いにくいケースもあります。
例えば、「特に問題ありません」と回答していても、実際には非効率な運用や属人化が発生していることがあります。
業務フローや運用ルールの背景まで確認しなければ、本質的な課題は見えてきません。
そのため、表面的な回答だけで終わらない設計が必要です。
人によってばらつきが生じる
業務ヒアリングは、人によって話す内容にばらつきが生じます。
同じ業務を担当していても、経験や立場によって重要だと考えるポイントが異なるためです。
ある人は日常業務を中心に話し、別の人はトラブル対応ばかり説明することもあります。
その結果、ヒアリング内容を比較できず、業務整理や業務マニュアル作成に必要な情報が不足する場合があります。
ヒアリング内容のばらつきを防ぐためには、共通の設計や質問項目が欠かせません。
業務ヒアリングは聞き方ではなく設計が重要な理由

業務ヒアリングで成果を出すためには、聞き方よりも設計が重要です。
ここでいう設計とは、事前にヒアリングの進め方や確認事項を整理しておくことを指します。
業務ヒアリングでは、以下の3つの理由から設計が重要になります。
- ヒアリングの成果は事前準備で決まる
- 設計がないと重要な情報が漏れる
- 設計があると再現性が高まる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ヒアリングの成果は事前準備で決まる
業務ヒアリングの成果は、事前準備によって大きく変わります。
ヒアリング中に何を聞くか考えている状態では、話を整理することに意識が向いてしまい、重要な情報を見落としやすくなるためです。
例えば、事前に業務一覧や組織図、既存マニュアルを確認しておけば、ヒアリングでは不足している情報の確認に集中できます。
実際に業務整理の現場でも、ヒアリング時間より事前準備に多くの時間をかけることは珍しくありません。
業務ヒアリングでは、当日の質問力よりも事前準備の質が成果を左右します。
設計がないと重要な情報が漏れる
業務ヒアリングは、設計がないと重要な情報が漏れやすくなります。
担当者は自分にとって当たり前の業務を説明しないことが多いためです。
例えば、通常業務については説明があっても、
- 月末だけ発生する業務
- トラブル発生時の対応
- 他部署との調整業務
- 個人の経験で補っている判断
などは質問しなければ出てこないことがあります。
実際の業務では、こうした例外対応や属人的な判断が重要なケースも少なくありません。
業務フローや業務マニュアルを正しく作成するためには、漏れなく確認できる設計が欠かせません。
設計があると再現性が高まる
業務ヒアリングは、設計することで再現性が高まります。
担当者の経験や質問力に依存しなくなるためです。
例えば、
- 最初に業務全体を確認する
- 大項目を整理する
- 小項目へ分解する
- 最後に漏れ確認を行う
という流れを決めておけば、誰が実施しても一定品質のヒアリングが可能になります。
業務整理や業務マニュアル作成では、一度だけ成功するよりも、継続的に同じ品質を維持できることが重要です。
そのため、業務ヒアリングでは聞き方のテクニックよりも、再現性のある設計を構築することが重要です。
業務ヒアリングの進め方
業務ヒアリングは、以下の流れで進めることをおすすめします。
- 時間配分を決める
- 目的を伝える
- 大項目を聞く
- 大項目ごとに小項目を聞く
- 小項目をそれぞれ掘り下げる
- 最後に漏れがないかを確認する
それぞれ詳しく解説します。
1.時間配分を決める
業務ヒアリングでは、事前に時間配分を決めることが重要です。
無計画に聞き始めると、前半で細かく聞きすぎて後半の時間が足りなくなるためです。
同じ粒度の業務であっても、聞ける量に大きな差が出てしまいます。
例えば、60分のヒアリングであれば、以下のような配分が考えられます。
| 内容 | 時間 |
|---|---|
| 前置き・目的説明 | 5分 |
| 大項目を聞く | 10分 |
| 大項目ごとに小項目を聞く | 20分 |
| 追加質問で深掘りする | 15分 |
| 漏れがないか確認する | 10分 |
時間配分を決めておくことで、重要な項目を漏れなく確認しやすくなります。
2.目的を伝える
ヒアリングの最初に目的を伝えることが大切です。
目的が分からない状態では、相手が何を話せば良いのか判断できないためです。
また、時間配分も共有することで、相手が安心して話しやすくなります。
例えば、「業務マニュアル作成のために業務内容を整理したい」「本日は60分で進める予定です」と最初に説明します。
目的と進行方法を共有することで、話が脱線しにくくなります。
3.大項目を聞く
最初は業務全体の大項目を確認します。
いきなり詳細を聞くと、業務全体の構造が見えなくなるためです。
例えば、「顧客対応」「請求処理」「在庫管理」など、まずは担当業務を一覧化します。
業務フローを整理する際も、最初に全体像を把握することが重要です。
まずは業務全体を俯瞰できる状態を作りましょう。
4.大項目ごとに小項目を聞く
大項目を整理した後は、小項目を確認します。
業務を細分化することで、実際の作業内容が見えてくるためです。
例えば、「顧客対応」であれば、「問い合わせ受付」「見積作成」「契約手続き」などに分解できます。
小項目まで整理することで、業務マニュアルに必要な情報が集まりやすくなります。
大項目だけで終わらず、小項目まで確認することが重要です。
5.小項目をそれぞれ掘り下げる
小項目ごとに詳細を確認しましょう。
業務の流れだけではなく、判断基準や例外対応も重要だからです。
例えば、「見積作成」であれば、使用するシステムや確認項目、例外処理などを確認します。
業務整理では、通常業務だけでなく例外対応の判断基準まで把握することが欠かせません。
小項目ごとに深掘りすることで、実際に使える業務マニュアルにつながります。
6.最後に漏れがないかを確認する
ヒアリングの最後には、必ず漏れがないか確認しましょう。
確認作業を行うことで、ヒアリング漏れを防げるためです。
大項目を聞いた後に「他にありませんか」と確認します。
小項目を掘り下げた後も確認します。
さらに最後に、全体を通して言い忘れがないかを確認します。
複数回確認することで、重要な情報の聞き漏らしを減らせます。
業務ヒアリングのポイント
業務ヒアリングには、以下の4つのポイントがあります。
- 項目ごとにも漏れがないかを確認する
- 脱線した時は話を戻す
- 相手の話をジャッジしない
- 第三者が聞く
それぞれ詳しく解説します。
項目ごとにも漏れがないかを確認する
漏れの確認は、最後だけでなく各項目ごとに行うことが重要です。
最後にまとめて確認すると、思い出せない内容が増えるためです。
例えば、「顧客対応について他にありませんか」「請求処理について補足はありますか」と確認します。
各項目の終了時に確認することで、ヒアリング漏れを減らせます。
確認は最後だけではなく、途中でも繰り返し行うようにしましょう。
脱線した時は話を戻す
ヒアリングでは、適切に話を戻すことが重要です。
話が脱線すると、時間不足につながるためです。
ただし、無理に遮る必要はありません。
例えば、「すみません、今はこちらの項目について伺っています」「時間が余ったら今のお話の続きをお願いします」といった形で自然に戻します。
ヒアリングの目的を達成するためには、進行管理も重要な役割です。
相手の話をジャッジしない
ヒアリング中は、評価やアドバイスを控えることが重要です。
先に結論を伝えると、本音が出なくなるためです。
実際に業務整理の案件でも、一見すると非効率に見える運用に合理的な理由があることがありました。
もし途中で「そのやり方は良くないですね」と言ってしまうと、担当者は本音を話しにくくなります。
業務ヒアリングでは、まずは事実を確認することを優先しましょう。
評価よりも情報収集を重視することが大切です。
第三者が聞く
業務ヒアリングは、可能であれば、第三者が実施することで本質的な課題が見えやすくなります。
上司と部下の関係では、本音を話しにくい場合があるためです。
実際にある案件では、スタッフと経営陣の認識に大きなズレがありました。
双方に悪意はありませんでしたが、経営陣は無意識に圧力がかかり、現場は本音を言えない状態になっていました。
第三者として双方の話を聞き、どちらも否定せず整理したことで、問題の本質が見えるようになりました。
業務ヒアリングは、設計によって漏れなく情報を収集するためにも、直接評価に関係しない部署の人や第三者によって本音を引き出すことが望ましいです。
MANUAL EXPERTでは、業務マニュアル作成や業務整理の一環として、第三者による業務ヒアリングも行っています。業務ヒアリングも含めたマニュアル作成の外注のメリット・デメリットは次の記事を参考にしてください。
>>業務マニュアル作成を外注するメリット・デメリット|本当の価値は業務の可視化にある
まとめ|設計を重視して業務ヒアリングを進めよう
業務ヒアリングは質問力ではなく、事前設計によって成果が変わります。
本記事では、業務ヒアリングがうまくいかない原因や、業務ヒアリングの進め方について詳しく解説しました。
特に重要なのは、聞き方よりも設計です。また、本音を引き出すためには第三者によるヒアリングも有効です。
業務整理や業務マニュアル作成を成功させるためには、ヒアリング設計から見直すことが重要です。
業務マニュアルでお困りの方
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業務マニュアルやシステム操作マニュアルの制作実績、クライアントからの評価については、以下もご参照ください。
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