業務マニュアル作成を外注する本当の価値は、マニュアルが完成することだけではなく、業務が可視化され、社内にノウハウが残る状態を作れることです。

業務マニュアルの作成を検討していると、次のような悩みを持つ方もいるでしょう。

  • 業務マニュアルを作りたいが、社内で作成する時間がない
  • 外注すると費用がかかるため、本当に依頼すべきか迷っている
  • 外注すると社内にノウハウが残らないのではないかと不安がある

これらの悩みは、マニュアル作成を単なる文章作成と考え、業務整理や業務可視化の側面を十分に理解できていないことが原因です。

本記事では、業務マニュアル作成を外注するメリット・デメリットと、外注を成功させるポイントについて詳しく解説します。

マニュアル作成を業務整理の機会として活用し、属人化の解消や業務改善につなげる参考にしてください。

業務改善の進め方については、以下の記事を参考にしてください。見える化・仕組み化・マニュアル化の3ステップを詳しく解説しています。

>>業務改善の進め方|見える化・仕組み化・マニュアル化の3ステップ

業務マニュアル作成を社内で進めるのが難しい理由

業務マニュアル作成を社内だけで進めるのが難しい理由は、主に以下の3つです。

  • 本業が忙しくて後回しになりやすい
  • 業務内容が担当者の頭の中にある
  • マニュアル作成のルールが決まっていない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

本業が忙しくて後回しになりやすい

業務マニュアル作成は、重要な業務でありながら後回しになりやすい仕事です。

日々の顧客対応や現場業務には期限があります。一方で、マニュアル整備は緊急性が低く見られるため、どうしても優先順位が下がりがちです。

実際に、多くの企業で「マニュアルを作ろう」という話は出るものの、数か月経ってもほとんど進んでいないケースがあります。

マニュアル作成は、文章を書く作業だけではありません。

業務ヒアリング、構成設計、文章作成、レビュー、修正、最終チェックまで必要です。

そのため、通常業務と並行して進めるには想像以上の工数が発生します。

業務マニュアル作成が進まない場合は、担当者の能力ではなく、進める体制そのものに課題があることが少なくありません。

業務マニュアルの作り方は以下の記事を参考にしてください。品質を安定させる仕組みづくりを詳しく解説しています。

>>業務マニュアルの作り方|品質を安定させる仕組みづくりを解説

業務内容が担当者の頭の中にある

業務が属人化している場合は、マニュアル化そのものが難しくなります。

担当者本人にとっては当たり前に行っている作業でも、実際には多くの判断基準や例外対応が含まれているためです。

例えば、

  • どのような優先順位で処理するのか
  • どのケースで例外対応するのか
  • 何を基準に判断しているのか

といった内容は、担当者自身が意識できていないこともあります。

そのため、「マニュアルを書いてください」と依頼しても、何を書けば良いのか分からず手が止まってしまうケースも少なくありません。

属人化については、以下の記事でも詳しく解説しています。

> > 属人化とは?解消方法と判断基準を継承する仕組みが重要

業務内容を客観的に整理し、言語化することがマニュアル作成の第一歩です。

マニュアル作成のルールが決まっていない

マニュアル作成のルールが決まっていないと、品質が安定しません。

同じ会社のマニュアルでも、

  • 人によって構成が違う
  • 用語が統一されていない
  • 説明の粒度が異なる

といった状態になりやすくなります。

また、同じ人が作成していても、途中で書き方が変わることがあります。

私自身も、200本以上のマニュアルを作成した案件で、途中から構成や表現方法を改善した経験があります。

改善すること自体は良いことですが、ルールがなければ全体の統一感が失われます。

マニュアル作成では、最初にルールを決めることが重要です。

> > 業務マニュアルの表記ルールとは?品質を安定させる統一ルールを解説

業務マニュアル作成を外注するメリット

業務マニュアル作成を外注するメリットは、単に作業時間を削減できることではありません。

主なメリットは以下の5つです。

  • 業務を客観的に整理できる
  • 業務の可視化につながる
  • 社内にノウハウが残りやすくなる
  • マニュアルの品質を統一しやすい
  • 社員が本業に集中しやすくなる

それぞれ詳しく解説します。

業務を客観的に整理できる

外注することで、業務を第三者の視点で整理できます。

社内では当たり前になっている業務ほど、改善点や課題に気づきにくいものです。

実際のヒアリングでは、「なぜその手順なのですか?」という質問に対して、「昔からそうしているからです」という回答が返ってくることもあります。

もちろん、その運用に合理的な理由がある場合もあります。

一方で、過去の経緯だけで残っている工程が見つかることもあります。

第三者が業務を整理することで、批判ではなく事実整理として業務全体を見直しやすくなります。

業務ヒアリングについては、以下の記事も参考にしてください。

> > 業務ヒアリングで失敗しない進め方|重要なのは「聞き方」ではなく「設計」

業務の可視化につながる

業務マニュアル作成を外注する最大の価値は、業務の可視化です。

マニュアル作成の過程では、

  • 誰が担当しているのか
  • どの順番で作業しているのか
  • どこで判断しているのか
  • どこに例外対応があるのか

を整理します。

すると、これまで見えなかった業務の全体像が明確になります。

また、

  • 引き継ぎしにくい業務
  • 担当者しか分からない業務
  • ミスが発生しやすい業務

も見つけやすくなります。

完成したマニュアルだけでなく、作成過程そのものが業務改善の機会になることは大きなメリットです。

社内にノウハウが残りやすくなる

業務マニュアルを外注すると、社内にノウハウが残りやすくなります。

「外注すると社内にノウハウが残らない」と考える方もいます。

しかし、実際にはマニュアル作成を外注する過程で、社内のルールや基準が整理されることが少なくありません。

例えば、複数のマニュアルを作成する場合は、表記ルールや構成ルールを決める必要があります。
また、完成イメージを共有するためのゴールドサンプルや、レビュー体制、チェック体制なども必要になります。

これらを決めずに進めると、外注先から納品される成果物の品質を揃えることが難しくなるためです。

実際にマニュアル作成プロジェクトでは、「誰が確認するのか」「どのような基準でレビューするのか」「どの表現を採用するのか」といったルールを決める場面が多くあります。

その結果、これまで曖昧だった業務ルールや判断基準が整理され、組織として共有しやすくなります。

業務マニュアル作成の価値は、マニュアルが完成することだけではありません。

マニュアルを作る過程で業務が整理され、社内にノウハウが蓄積されることも大きなメリットです。

業務の見える化については、次の記事を参考にして下さい。

>>業務の見える化とは?仕組み化の前に行う業務整理の進め方

マニュアルの品質を統一しやすい

業務マニュアル作成を外注すると、マニュアルの品質を統一しやすくなります。

社内だけでマニュアルを作成している場合は、表記揺れや構成の違いがあっても、そのまま運用されていることが少なくありません。しかし、外注する場合は複数の担当者が同じ基準で成果物を作成できるように、ルールを明確にする必要があります。

例えば、

  • 見出し構成をどうするか
  • ボタン名をどのように表記するか
  • 画像をどの位置に配置するか
  • 注意事項をどのように記載するか

といった内容です。

また、マニュアルを継続的に作成する場合は、統一ルールだけでなく、ゴールドサンプルやレビュー体制、チェック体制も重要になります。

実際にマニュアル作成を進める中で、「どちらの表現を採用するか」「どこまで詳しく記載するか」といった判断が必要になる場面は少なくありません。

そのため、外注先と協力しながらルールを整備することで、これまで曖昧だった基準が明確になります。

業務マニュアルの品質を安定させるためには、文章を書くことではなく、品質を維持するための仕組みを整えることが重要です。

品質を安定させる仕組みについては、以下の記事でも解説しています。

> > 業務マニュアルの作り方|品質を安定させる仕組みづくりを解説

社員が本業に集中しやすくなる

業務マニュアル作成を外注すると、社員が本業に集中しやすくなります。

業務マニュアルは文章を書くだけの仕事ではありません。業務内容のヒアリングから始まり、業務整理、構成作成、文章作成、画像作成、レビュー、チェックまで多くの工程があります。

そのため、「空いた時間に作ろう」と考えていても、なかなか進まないケースは少なくありません。

実際、ホームページ制作を社員が片手間で作ることを前提に考える企業はあまり多くありません。しかし、マニュアル作成は業務内容を知っている人なら作れると思われやすく、通常業務の合間に任されることがあります。

また、業務に詳しい人が必ずしも分かりやすいマニュアルを作れるとは限りません。専門知識を持っている人ほど、「当たり前」と感じている部分の説明が抜けてしまうこともあります。

私自身、マニュアル作成では文章を書く時間よりも、業務を整理して構成を考える時間の方が長いと感じています。読みやすく、誰でも再現できる資料にしようと思うほど工数は増えていきます。

もちろん、外注した場合でもヒアリングやレビューは必要です。しかし、一から構成を考え、文章化し、品質を整える作業まで社内で行う必要はありません。

そのため、社員は内容確認や承認に集中でき、本来取り組むべき業務への影響を抑えながらマニュアル整備を進めやすくなります。

業務マニュアル作成を外注するデメリット

業務マニュアル作成の外注にはデメリットもあります。しかし、実際には進め方や考え方によって解消できるものも少なくありません。

主なデメリットは以下の3つです。

  • 費用がかかる
  • 業務内容を説明する手間がかかる
  • 外注先によって品質に差が出る

それぞれ詳しく見ていきましょう。

費用がかかる

業務マニュアル作成を外注すると費用が発生します。

そのため、「社内で作れば無料ではないか」と考える方もいるでしょう。

しかし、業務マニュアルをまともに作ろうとすると、ヒアリング、業務整理、文章作成、レビュー、チェックなど多くの工数が発生します。

また、マニュアル作成を担当するのは、業務をよく知るベテラン社員や管理職であることが少なくありません。その結果、本来行うべき業務に使える時間が減ってしまいます。

業務マニュアルの内製化は無料なのではなく、人件費や機会損失という形でコストが発生しています。

業務マニュアル作成を検討する際は、外注費だけでなく、社内で発生する工数も含めて判断することが重要です。

業務内容を説明する手間がかかる

外注する場合は、業務内容を説明する時間が必要です。

一見するとデメリットに思えますが、実際にはこの工程に大きな価値があります。

業務を説明するためには、

  • 何をしているのか
  • なぜその手順なのか
  • どのような基準で判断しているのか

を整理しなければなりません。

すると、人によってやり方が違っていたり、判断基準が曖昧だったりすることが見えてきます。

実際の案件でも、マニュアル作成を進める中で業務改善の議論になることは少なくありません。

マニュアル作成の過程は、単なる説明作業ではなく、業務を可視化し整理する機会でもあります。

外注先によって品質に差が出る

業務マニュアル作成は、外注先によって品質に差が出ます。

なぜなら、文章作成と業務整理は別のスキルだからです。

実務で使えるマニュアルを作るためには、業務ヒアリングや業務整理、構成設計まで対応できる必要があります。

また、外注先にすべて任せれば良いわけでもありません。

外注先は整理や文書化を担当し、社内担当者は内容確認や承認を担当するという役割分担が重要です。

実際に品質の高いマニュアルは、外注先と現場担当者が協力して作られているケースがほとんどです。適切な外注先を選び、役割分担を明確にすることで、実務で使いやすいマニュアルを作りやすくなります。

マニュアル作成代行を選ぶ際は、文章力だけではなく、業務整理の実績や進め方も確認することをおすすめします。実務で使われるマニュアルを作るためには、整理力が欠かせません。

> > マニュアル作成に必要なスキルとは?得意な人の特徴を解説

業務マニュアル作成の外注を成功させるポイント

業務マニュアル作成を成功させるためには、以下の5つのポイントがあります。

  1. 丸投げではなく協力して作る
  2. 最初に作成ルールを決める
  3. ゴールドサンプルを作成する
  4. レビュー体制を決める
  5. チェック体制を整える

それぞれ詳しく解説します。

丸投げではなく協力して作る

業務マニュアル作成を成功させるためには、外注先と協力しながら進めることが重要です。

マニュアル作成を外注すると聞くと、「資料を渡して完成品を待つもの」と考える方もいます。しかし、実際には外注先と社内担当者が協力することで、より実用的なマニュアルを作りやすくなります。

外注先は、業務整理や構成設計、文章化を得意としています。一方で、現場での判断基準や例外対応、運用上の細かなルールを理解しているのは社内担当者です。

そのため、外注先が業務を整理し、社内担当者が内容を確認するという役割分担が重要になります。

実際にマニュアル作成を進める中では、「この場合はどう対応するのか」「なぜこの手順になっているのか」といった確認が発生します。その過程で、これまで曖昧だった業務ルールや判断基準が整理されることも少なくありません。

業務マニュアル作成は成果物を納品してもらうだけではなく、外注先と一緒に業務を整理し、見える化していくプロジェクトとして進めることをおすすめします。

最初に作成ルールを決める

業務マニュアル作成を外注する場合は、最初に作成ルールを決めておくことが重要です。

社内だけでマニュアルを作成している場合は、多少の表記揺れや構成の違いがあっても運用できてしまうことがあります。しかし、外注先を含めて複数人でマニュアルを作成する場合は、共通のルールがなければ品質を揃えることができません。

例えば、見出し構成や表記方法、画像の使い方、注意事項の書き方などです。

また、マニュアル作成を進める中で、「どちらの表現を採用するのか」「どこまで詳しく説明するのか」といった判断が必要になる場面もあります。

こうしたルールを最初に決めておくことで、作成者による品質のばらつきを防ぎやすくなります。また、レビューや修正の手間も減らせるため、マニュアル作成全体を効率的に進めやすくなります。

業務マニュアルの統一ルールについては、以下の記事を参考にしてください。

> > 業務マニュアルの表記ルールとは?品質を安定させる統一ルールを解説

ゴールドサンプルを作成する

大量のマニュアルを作成する場合は、最初にゴールドサンプルを作成することをおすすめします。

ゴールドサンプルとは、理想的な完成形の見本となるマニュアルです。

マニュアル作成では、表記ルールや構成ルールを決めることが重要です。しかし、ルールを文章だけで共有しても、人によって解釈が変わることがあります。

例えば、

「どの程度まで詳しく説明するのか」

「画像はどのように配置するのか」

「注意事項はどのように記載するのか」

といった内容は、実際に作ってみないと判断が難しい場合も少なくありません。

そこで最初にゴールドサンプルを作成し、レビューを行うことで、完成イメージや品質基準を共有できます。

私自身も、マニュアル整備プロジェクトでは最初にゴールドサンプルを作成し、その内容を基準にして残りのマニュアルを作成することが多くあります。

ゴールドサンプルを作る過程では、表記ルールや構成、レビュー基準なども整理されるため、その後のマニュアル作成を効率的に進めやすくなります。

業務マニュアルのゴールドサンプルの作り方は以下の記事を参考にしてください。品質を安定させるためには、完成形を共有することが重要です。

> > マニュアルのゴールドサンプルとは?品質を安定させる作り方を解説

レビュー体制を決める

業務マニュアル作成を成功させるためには、レビュー体制を決めておくことが重要です。

マニュアル作成では、外注先が作成した内容を確認し、実際の業務に合っているかを判断する工程が必要になります。

このとき、レビュー担当者が決まっていないと、修正方針がぶれたり、確認が進まなかったりすることがあります。また、人によって指摘内容が異なると、マニュアル全体の品質も安定しません。

特に複数のマニュアルを作成する場合は、「誰が」「どのような基準で」レビューするのかを決めておくことが重要です。

レビューは誤りを探すための作業ではありません。マニュアルをより実務に合ったものにし、品質を高めるための工程です。

ゴールドサンプルや統一ルールとあわせてレビュー体制を整えることで、マニュアル全体の品質を安定させやすくなります。

> > レビュー体制とは?業務マニュアルの品質を高める仕組みを解説

チェック体制を整える

業務マニュアル作成では、レビュー体制だけでなくチェック体制も重要です。

レビューは内容や構成が適切かを確認する工程ですが、チェックは品質基準を満たしているかを確認する工程です。

マニュアル作成が長期間にわたる場合や、複数人で作成する場合は、表記揺れや手順漏れなどが発生しやすくなります。また、途中でルールが変更されることも少なくありません。

そのため、完成後に全体を同じ基準で確認する仕組みが必要になります。

特に、過去のレビューで繰り返し発生した指摘事項は、チェックリストとして管理することをおすすめします。毎回すべてを細かく確認するのではなく、間違いやすいポイントを重点的に確認することで、効率的に品質を維持しやすくなります。

ゴールドサンプル、統一ルール、レビュー体制とあわせてチェック体制を整えることで、マニュアル全体の品質を安定させやすくなります。

> > チェック体制とは?業務マニュアルの品質を保証する方法

最終チェックを行うことで、マニュアル全体の品質を安定させやすくなります。

まとめ|業務マニュアル作成を業務整理の機会にしよう

業務マニュアル作成を外注する本当の価値は、マニュアルが完成することだけではありません。

本記事では、業務マニュアル作成を外注するメリット・デメリットと、外注を成功させるポイントについて解説しました。

業務マニュアル作成では、ヒアリングや業務整理、レビュー、チェックなど多くの工程が発生します。そのため、社内だけで進めようとしても後回しになったり、担当者の負担が大きくなったりすることは少なくありません。

また、外注には費用や説明の手間といったデメリットもあります。しかし、それらの工程は単なる負担ではなく、業務を整理し、判断基準を明確にし、社内で共有できる形にするための重要な機会でもあります。

業務マニュアル作成の外注は、単に文章作成を依頼することではありません。業務を可視化し、属人化を解消し、組織の知識として残していくための取り組みです。

業務マニュアルの作成や見直しを検討している場合は、業務整理の機会として外注を活用してみてはいかがでしょうか。

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