属人化を解消するためには、手順だけではなく判断基準を整理し、継承できる仕組みを作ることが重要です。
属人化に悩んでいる企業も多いでしょう。
- 特定の担当者しか業務内容が分からない
- 担当者が休むと業務が止まる
- マニュアルを作っても属人化が解消しない
このような問題は、業務の手順は整理していても、判断基準が整理されていないことが原因かもしれません。
本記事では、属人化が発生する原因や解消方法、業務マニュアルが有効な理由について詳しく解説します。
属人化の本質を理解し、業務改善や事業承継につながる仕組みづくりの参考にしてください。
業務改善の進め方については、以下の記事を参考にしてください。見える化・仕組み化・マニュアル化の3ステップを詳しく解説しています。
>>業務改善の進め方|見える化・仕組み化・マニュアル化の3ステップ
属人化が問題になる理由
属人化が問題になる理由には、以下の3つがあります。
- 担当者が休むと業務が止まる
- 引き継ぎが難しくなる
- 業務改善が進まなくなる
それぞれ詳しく解説します。
担当者が休むと業務が止まる
属人化の代表的な問題は、担当者が不在になると業務が止まってしまうことです。
特定の担当者しか業務内容を理解していない場合、休暇や退職、異動などが発生すると業務を継続できなくなります。
例えば、
- 顧客対応の履歴が本人しか分からない
- システム設定の方法が担当者しか知らない
- 取引先との調整方法が共有されていない
といった状況です。
業務が止まるだけでなく、顧客対応の遅れや品質低下にもつながります。
企業として安定した運営を行うためには、特定の個人へ依存しない仕組みづくりが重要です。
引き継ぎが難しくなる
属人化が進むと、後任への引き継ぎが難しくなります。
長年同じ担当者が業務を行っている場合、本人にとっては当たり前になっている知識や判断が数多く存在します。
しかし、その多くは言語化されていません。
そのため、後任者へ引き継ぐ際には、
「なぜその対応をしているのか」
「どのような基準で判断しているのか」
が分からなくなります。
結果として、引き継ぎに長い時間が必要になったり、品質が低下したりする場合があります。
属人化を防ぐためには、業務内容だけでなく判断基準も整理することが重要です。
業務改善が進まなくなる
属人化は業務改善を妨げる原因にもなります。
業務改善を行うためには、現在の業務内容を見える化する必要があります。
しかし、業務内容や判断基準が担当者の頭の中にしか存在しない場合、改善点を見つけることができません。
また、周囲の人も業務全体を理解できないため、
「なぜその作業が必要なのか」
「もっと効率化できないか」
といった議論も難しくなります。
業務改善を進めるためにも、まずは業務を見える化することが重要です。
属人化を解消する主な方法

属人化を解消する方法は1つではありません。
代表的な方法として、以下の4つがあります。
- 人材育成・OJTを行う
- 業務共有やジョブローテーションを行う
- 業務フローを整理する
- 業務マニュアルを整備する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人材育成・OJTを行う
属人化対策として最も多い方法が人材育成です。
担当者が持つ知識や経験を、教育やOJTを通じて他の社員へ共有します。
実際の業務を通じて学べるため効果は高い方法です。
一方で、教える担当者の負担が大きくなりやすく、人によって教え方に差が出るという課題もあります。
また、知識が人から人へ伝わるだけでは、再び属人化が発生する可能性があります。
業務共有やジョブローテーションを行う
複数人で業務を担当する方法も有効です。
定例会議で情報共有したり、ジョブローテーションを実施したりすることで、業務知識を分散できます。
担当者が不在になった場合でも、代替対応しやすくなります。
ただし、共有された知識が文書として残らない場合は、異動や退職によって再び失われる可能性があります。
そのため、共有だけでなく記録も重要です。
業務フローを整理する
業務フローを整理することで、業務全体の流れを見える化できます。
誰が何を担当しているのかが明確になり、属人化している箇所も把握しやすくなります。
実際に業務整理を行う場合も、最初に業務フローを作成するケースは少なくありません。
ただし、業務フローで整理できるのは主に業務の流れです。
判断基準や例外対応までは表現しきれない場合があります。
そのため、業務フローだけでは属人化対策として不十分なケースもあります。
業務マニュアルを整備する
属人化解消の方法として、業務マニュアルの整備は非常に有効です。
業務マニュアルには、
- 作業手順
- 判断基準
- 注意点
- 例外対応
などを体系的に整理できます。また、教育や引き継ぎにも活用できます。
ただし、単純に手順を書き起こすだけでは十分ではありません。属人化の本質は、手順ではなく判断基準が見えなくなることだからです。
業務マニュアルを作成する際は、「なぜその対応を行うのか」まで整理することが重要です。
業務マニュアルの作り方は以下の記事を参考にしてください。品質を安定させる仕組みづくりを詳しく解説しています。
>>業務マニュアルの作り方|品質を安定させる仕組みづくりを解説
業務マニュアルが属人化解消に有効な理由
属人化の解消方法は複数ありますが、その中でも業務マニュアルは判断基準を継承できる有効な手段です。業務マニュアルが属人化解消に有効な理由は、以下の3つです。
- 判断基準を継承できる
- イレギュラー対応を共有できる
- 事業承継にも活用できる
それぞれ詳しく解説します。
判断基準を継承できる
業務マニュアルの最大の価値は、判断基準を継承できることです。
実際に失われやすいのは作業手順ではありません。
どの案件を優先するのか。
どのような方法を選択するのか。
誰へ相談するのか。
こうした判断基準こそが属人化しやすい部分です。
業務マニュアルで判断基準を整理することで、担当者が変わっても同じ考え方で業務を進めやすくなります。
単なる手順書ではなく、判断基準を残せることが業務マニュアルの大きな強みです。
イレギュラー対応を共有できる
属人化しやすいのは、通常業務よりもイレギュラー対応です。
日常業務は比較的整理しやすく、手順化も容易です。
しかし、ベテラン社員の価値が発揮されるのは例外対応の場面です。
例えば、
- 顧客から特別な要望があった
- 納期遅延が発生した
- トラブルが発生した
といったケースです。
こうした場面で何を優先し、どのように判断するのかを整理しておくことで、組織としての再現性が高まります。
属人化を防ぐためには、イレギュラー対応こそ整理することが重要です。
事業承継にも活用できる
業務マニュアルは、事業承継においても重要な役割を果たします。
事業承継で課題になるのは、作業手順そのものではない場合が少なくありません。
実際に私が支援した農業グループの事業承継では、作業手順よりも代表者の判断基準を整理することが求められました。
例えば、
- どの取引先を優先するのか
- どのような場面で誰へ相談するのか
- トラブルが発生した時に何を優先するのか
といった内容です。
また、長年の人間関係によって成り立っている取引も多く存在しました。
重要なのは「誰に依頼するか」だけではありません。
「なぜその人を選んでいるのか」という判断基準を整理することでした。
事業承継で本当に引き継ぐべきなのは、手順ではなく経営者や担当者の考え方です。
業務マニュアルは、その考え方を継承するための有効な手段になります。
属人化解消のポイント
属人化を解消するためには、以下の4つのポイントがあります。
- 属人化と専門性は分けて考える
- 手順書だけでは不十分
- 業務整理から始める
- 第三者が整理すると見えやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
属人化と専門性は分けて考える
属人化と専門性は分けて考えることが重要です。
属人化という言葉にはネガティブな印象があります。
しかし、経験豊富な担当者や専門知識を持つ人材の存在自体は企業にとって大きな強みです。
問題なのは、その知識や判断基準が共有されていないことです。
例えば、
- 営業経験が豊富な担当者
- 長年顧客対応を行ってきた担当者
- 特殊な技術を持つ担当者
がいることは悪いことではありません。
むしろ企業の競争力につながります。
重要なのは、その人しか分からない状態を放置しないことです。
専門性は活かしながら、判断基準を共有できる仕組みを作りましょう。
手順書だけでは不十分
属人化解消のためには、手順書だけでは不十分です。
手順書は「何をするか」を整理するためのものです。
一方で、属人化の原因になりやすいのは「なぜそうするのか」という判断基準です。
私自身、現在ブログ記事作成の仕組み化を進めています。
その中で作成したのが、
- ゴールドサンプル
- 統一ルール
- 入力フォーム
です。
これらは単純な作業手順ではありません。
- どのような基準で見出しを作るのか。
- どのような品質を目指すのか。
- どのような考え方で記事を構成するのか。
そうした判断基準を言語化したものです。
属人化を防ぐためには、手順を残すことではなく、判断基準を言語化することが重要です。
業務整理から始める
属人化解消は、いきなりマニュアル作成から始めるべきではありません。
まずは業務整理を行うことが重要です。
業務内容が整理されていない状態では、何をマニュアル化するべきかも分かりません。
そのため、
(業務整理)→(業務フロー作成)→(判断基準の整理)→(マニュアル作成)
という順番で進めることをおすすめします。
業務整理の段階で、属人化している業務や重要な判断ポイントが見えてくることも少なくありません。
業務の見える化については、次の記事を参考にしてください。
第三者が整理すると見えやすい
判断基準の整理は、第三者が入ることで進みやすくなります。
長年業務を担当している人にとって、自分の判断基準は当たり前になっています。
そのため、
「なぜそうしているのですか」
と質問されても、
「昔からそうしている」
「何となくそうしている」
という回答になることもあります。
しかし実際には、
- 過去の経験
- 取引先との関係
- 品質への考え方
- リスクへの考え方
など、様々な判断基準が存在しています。
第三者がヒアリングを行うことで、その判断基準を引き出しやすくなります。
MANUAL EXPERTでは、業務マニュアル作成だけでなく、業務整理や業務ヒアリングから支援しています。
業務整理やヒアリングについては、以下の記事も参考にしてください。
> > 業務ヒアリングで失敗しない進め方|重要なのは「聞き方」ではなく「設計」
まとめ|属人化は判断基準を継承しよう
属人化を解消するためには、手順だけではなく判断基準を整理し、継承できる仕組みを作ることが重要です。
本記事では、属人化が問題になる理由や解消方法、業務マニュアルが有効な理由について解説しました。
属人化の解消方法は複数ありますが、継続的に知識や判断基準を残せるという点で、業務マニュアルは有効な手段です。
また、業務マニュアルは単なる手順書ではありません。なぜその判断をするのかという考え方まで整理することが重要です。
まずは業務整理から始め、自社の重要な判断基準を見える化していきましょう。
業務マニュアル作成でお困りの方
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業務マニュアルやシステム操作マニュアルの制作実績、クライアントからの評価については、以下もご参照ください。
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